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芦塚 伸也 氏

プロフィール

1974年、長崎市生まれ。1999年、宮崎医科大学(現・宮崎大学医学部)第一内科入局。宮崎大学医学部大学院博士課程修了後、福岡大学筑紫病院消化器科へ国内留学。松井敏幸先生の下で炎症性腸疾患診療・小腸疾患診療の修業をし、2007年、宮崎大学医学部第一内科および卒後臨床研修センター 助教。

日本内科学会認定医 / 日本消化器病学会専門医 / 日本消化器内視鏡学会専門医
日本大腸肛門病学会 / 日本消化管学会

宮崎大学医学部卒後臨床研修センターの指導医として、今の研修システムの現実と将来の理想を見据える芦塚医師。メンターとの思い出や、自らの指導方針とキャリア形成の考え方、そして宮崎で研修することの意義と地域力への期待を語っていただきました。

指導医は研修医のよき伴走者であれ

宮崎大学では、2004年の新医師臨床研修制度導入以前から屋根瓦式の指導方法を取っていて、研修医一人ひとりに担当指導医がつき、点滴のやり方から診療録の書き方まで丁寧に教えます。

比較的世代の近い7年目から10年目ぐらいの先輩医師を臨床現場の指導医として配置し、研修医とのギャップをなるべく少なく、問題点や悩みを共有できるように配慮もしています。

卒後臨床研修センターでは、専任教員と事務スタッフ、各科からの指導医が足並みをそろえ、常に研修医の状況を把握して、ローテートの中でもぶつ切りの指導にならないような体制を整えています。

私が医局に入りたての頃は、いわゆる体育会系の指導もまだ残っていました。丁寧に教わるというよりは先輩医師の背中から学びとり、ときには頭ごなしに厳しく叱られたりというのも私の性格に合っていたのか、緊張感をもって臨床に向かうことができていたという側面もありました。

現代の研修医世代には強権的な指導はそぐわないので、論理的な指導を意識しています。6年前に指導医講習を受けてからは「コーチング」を意識し、個人を尊重しながら上手にアドバイスをする、伴走しながら正しい方向へ導いていくという指導方法を心掛けています。

当時指導を受けた松尾剛志先生(現・宮崎江南病院内科部長)が私にとっては最も影響を受けたメンターで、患者さんに対して網の目の細かい診察で危険を察知する、「人間全体を診る」という内科的な考え方を学びました。また、研修医の思考過程をヒアリングしてくれる指導で、自分の力で正解を導き出せれば褒めてくれる、叱り上手でもありましたけれど、私も今、松尾先生のまねをしながら後進の指導にあたっています。

宮崎の地域力の高さとキャリアモデル

私は長崎の出身なのですが、初めて宮崎に来た時に、空の広がりに感動したのを今でも覚えています。少年時代は病気がちだったのですが、こちらへ来てからは病気らしい病気もしなくなり、宮崎という地の持つパワーはとても高いと感じます。

宮崎に研修に来ている研修医は、素直で優しい子たちが多くて、素朴で純朴、みんな一生懸命ですし、しっかり宮崎の医療を支えたいという「想い」を持っている人たちが、このまま宮崎の土地柄にあった医師として育っていくのではと期待しています。全国的にはやはり専門医志向が強いですが、ここには始めから地域医療に携わりたいという人も少なからずいますし、臨床志向の医師が多いのも特長だと思います。

自分もそうだったのですが、研修医の時って先が見えないことが怖いんです。自分が医師として生きていく上で何か武器が欲しいとなると、専門医資格や特殊技能を身に付けたいと思うのは自然なことです。それを持つとそれだけじゃないって気付くんですけどね。私も大学にいるからこそ、ある程度専門分野に特化して仕事ができますが、市井の病院では専門だけでは役に立たない場合もあるので、将来的に宮崎で医療をするには、広く全般的に内科的な意識を持っていたほうが良いでしょう。大学や大きい病院でスペシャリティを身に付けた後に、地域に帰って総合診療に転じるというキャリアモデルも考えて研修先を選ぶのも一つの方法です。

臨床研修システムの理想と現実

宮崎大学における研修システムは年々ブラッシュアップされて非常に良くなっています。今、指導医となっている世代も新医師臨床研修制度の下で教育を受けてきているので、教え上手でもありますし、指導のレベルも上がっています。ただ、教える側の負担が非常に高くなっているという実情があります。

大学病院も臨床の現場として多くの患者さんを受け入れるようになり、医療のスピードも格段に速くなりました。中堅医師たちが、重症や難病の患者さんへの診療を担っているのはもちろん、その上で月に7~8人の研修医を一人前にするために身を粉にして働いています。今は指導医たちの努力や献身によって支えられている制度ですが、その精神的・肉体的負担に対してのケアが十分ではなく、オーバーワークは患者さんにとっても医師にとっても危うさを孕んでいて、報酬体系やマネジメントも含め、指導医の労働環境の整備が急務だと考えています。

医師を目指す君へのメッセージ 「 出会いを大切に! 」

医師というのは魅力的な仕事ですし、また、患者さんからの「ありがとう」の言葉など、医療の現場ほど人に感謝される仕事もそうないと思います。医師になりたいという仲間が増えるのは喜ばしいことですし、少しでも興味を持ったなら医学部への進学を考えてみてください。年齢制限もない、職業寿命も長いのでいつでも挑戦できます。

その次に医師としてのスタートの準備として、どこで卒後研修に臨むかは先を見据えて選ぶべきで、将来的に宮崎で仕事をしようという意思があるのなら、宮崎で研修することをお勧めします。

県外の有名な研修病院で受ける研修も、宮崎で受ける研修も、修了者を比べてみて、そんなに大きな差があるわけではありません。卒後臨床研修の到達目標は全国共通ですし、どこで研修を受けても、その後のキャリアに大きな影響はありません。将来的に自分が働く環境やキャリア形成(診療科や病院、大学院など)を考える際に、研修医時代に得た見聞や人脈は非常に大切な要素になります。

臨床研修の2年間は医師としての基礎を学ぶ期間ではあるのですが、たくさんの先輩医師と出会える良い機会でもあり、その出会いによっては、卒業時に考えていた自分の進路と、研修2年目の終わりに描くキャリアとが全く違ったものになる可能性だってあります。そこに自分の働きたい環境があるかどうかを確かめるという視点でも出会いを大切にしてください。

医師のキャリアは、ゴールのない高い山を駆け登っているようなもので、その体力や伸び代があるのが医師としてスタートしてからの10年間だと思っています。中には何十年と走り続けられる猛者もいますが、私も含め一般的には、年齢を重ねて、結婚や子育てなど生活も変わり、20代の頃のように自分の欲求だけで走ることが難しくなってきます。でも逆に「10年で自分の医師力が決まる」と考えれば、全速力で頑張れるものですよ!

芦塚医師近影

最後に先生にとっての医療とは?

人 宮崎大学医学部第一内科 卒後臨床研修センター  助教 芦塚 伸也

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