ホーム »  特集ページ »  松浦 良樹氏

松浦 良樹氏

プロフィール

平成19年3月、長崎大学卒業。初期研修は鹿児島生協病院(鹿児島市)。後期研修は上戸町病院(長崎県)。
平成24年から古賀総合病院にて勤務。平成26年4月から飯塚病院総合診療科。平成28年4月から現職。
内科一般、感染症を中心とした総合診療を主として、医学教育を実践する。これまでに100床規模から1000床規模の病院で指導医を経験した。飯塚病院 Clinical Educator of the Year 2015(ベスト指導医賞)受賞

  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 プライマリ・ケア認定医
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 認定指導医
  • インフェクションコントロールドクター(ICD)

医師になったきっかけ

松浦氏

長崎大学医学部を卒業後、鹿児島生協病院を初期研修の場所に選びました。スタッフも患者さんも多く、まるで野戦病院みたいな忙しい毎日でしたが、指導医の先生たちがみんな薩摩隼人で、それはもう情熱的に教えてくれました。

後期研修は長崎に戻って、上戸町病院で3年間を過ごしました。104床の小さな病院ですが、管理型の臨床研修指定病院で、入院と外来、無床診療所での診療や訪問診療、内視鏡検査や透析治療など、多くのことを経験しました。地域住民との交流も盛んで、夏場には熱中症、冬はインフルエンザなど、住民講座も研修医と一緒に行っていました。今でも研修医に大変人気のある病院です。

実は、この病院には叔従父が勤めている縁もあり、医学生の頃に往診や訪問診療に付いて回っていくうちに、「素晴らしい仕事だな」と思ったのが、医師としての志を決めたきっかけになりました。長崎の外れの町で、昔は造船で栄えたところでしたので、今でいう家庭医に近い仕事でしょうか。この病院で働く先生方の姿が、私の理想の医師像にもなっています。

宮崎への移住

後期研修も終わりを迎え、ちょうど2人目の子どもが生まれたタイミングで、宮崎への移住を決断しました。妻の実家が古賀総合病院のすぐ近くで、ちょうど自分がしたいと思っていた医療ができる環境だったということもあり、縁を感じました。

上戸町病院での経験から、臓器にとらわれずに初めて会う患者さんをじっくり診察して診断し、治療する総合診療という分野が、自分には合っていると分かってきましたし、そこに医師としてのやりがいを感じています。古賀総合病院では、新患や紹介の患者さんも多いですし、入院の患者さんもいるので、一般内科としての業務がほとんどなのですが、今はそれに加えて、感染制御管理対策の仕事もしています。総合診療医は、いろいろな患者さんを診るのですが、結構、感染症の割合も高いんです。それらの感染症患者さんの治療ももちろん行いますが、その他の患者さんが病院内で新たな感染を起こさないようにマネジメントする大事な役割も担っています。

飯塚病院での修行

松浦氏2

子育てをしながら宮崎で長く働こうと決めてはいたものの、かねてから研修医を指導することも好きで、そのために医学教育を学びたいと思っていて、一度、本格的な勉強のために外に修行に出ることにしました。福岡県の飯塚病院は、教育の歴史も長く、九州の中でもトップレベルの研修病院として知られています。中でも総合診療科は、指導医の教育能力を高めるファカルティ・ディベロップメントの活動が盛んでした。その2年間で、初期研修医と後期研修医の指導を行いつつ、自らの指導医としての学びを得たり、ピッツバーグ大学に1週間赴き、先進的な教育のための教育を受けたりすることができました。

これらの中で学んだ指導メソッドの一つが「フィードバック」。研修医が日々行う診療行為に対して、その都度適切な振り返りを行い、次の行動の改善と成長を促すという教育方法です。もう一つが「アウトカム基盤型教育」。「社会に必要とされる、良いお医者さん」には手技の上手さや知識の豊富さだけでなく、コミュニケーション能力やプロとしての自覚、自分で学習して成長していく能力なども不可欠です。これらの核となる能力(有名なものではACGMEの6コアコンピテンシー)を、個々の研修医の状況に応じて丁寧に獲得していけるように指導、評価を行っていきます。

古賀総合病院の特長

当院は宮崎市に限らず、近隣の国富町、綾町、西都児湯医療圏の入院が必要となった患者さんの受け皿となっています。高齢者が多くなり、複数の疾患をお持ちの方や、社会的や経済的に不利な人もいらっしゃいます。それらの多様なニーズに対応するのが、総合診療医の役割ですが、幸い、当院では多くの先生方が自分の専門臓器以外にも、いろいろな疾患を診てきた歴史がありますし、多くの専門家に協力してもらいながら、複雑な病態に対応することもできます。

ただ、今後はできるだけ質の高い医療サービスを継続的に提供していくことも、我々の課題になります。当院で地域の全ての患者さんを抱え込むことは到底難しく、地域の先生方にもご協力いただいて初めて維持できるものとなります。当院は地域医療支援病院として認定されており、地域医療連携室を要として、開業医の先生方や近隣の連携病院と協力して、地域医療を「守り」、さらに「育てていく」ための活動を続けています。

研修医の指導方法

松浦氏3

初期研修医は、その後に独り立ちしていくための必要な能力を満遍なく伸ばしていくのがテーマになりますが、新専門医制度における当院の後期研修プログラム(総合診療科領域で準備中)では、地域の中小規模病院で核となって働くことができる医師を育てるというのをコアコンセプトとしています。

地域に入って、訪問診療を積極的に行う家庭医というイメージも、総合診療分野では極めて重要なのですが、当院では地域の総合病院や、もっと小さな規模の病院を基盤として活躍する内科医を、病院総合医として育てたいと思っています。当院は市中病院なので、その学びのために必要な、本当にいろんな患者さんの経験ができる環境です。

私自身の方針として、研修医には「経験を体験で終わらせない」ことを心掛けています。せっかく経験した症例でも、指導医とともに見せてもらっただけ、つまり体験しただけだと、足し算にしかなりませんが、そこにしっかりフィードバックなどの指導を加えると、その経験が掛け算されて積み重なっていくのです。

古賀総合病院の研修の最も特徴的な点は、今年から始まった多職種メンター制度です。指導医以外に、看護師や事務、薬剤師などの職種から選ばれたベテランスタッフを、研修医や実習医学生にマンツーマンで付け、社会人の先輩として日々の相談に乗ったり、業務の振り返りをしたりするような仕組みを導入しました。360度評価という、多職種から見て研修医を評価する仕組みは、一般的ですが、当院の制度では評価より、メンタリングを上下関係のある指導医ではないスタッフにも行ってもらうというのがポイントです。

より気軽に相談できる医師以外の職種の存在が、研修医に広い視野と常識的な態度を身に付けさせるという点でも、大きな効果があるのではと期待しています。

古賀総合病院の研修のポイント

松浦氏6

初期研修医のマッチング対策としては、まず医学生実習の充実を図りました。1カ月のクリクラでは、実際の研修に近い参加型の実習を導入しています。医学生も実際に患者さんに簡単な問診や診察をして、すかさずそのフィードバックをするなど、研修医と同様の指導を体験してもらうことから始めています。

その中で、当院の研修医として働くイメージが湧くかどうかを重視してもらっています。今の世代は、研修医であっても、ワークライフバランスも重視する傾向があります。私も初期研修医2年目で子どもが生まれて、子どもに会うことをモチベーションとして仕事を一生懸命に終わらせるよう努力していましたので、よく理解できます。自分の家族を大切にできない人が、患者さんを大切にできるのかという逆説もありますので、自分の生活を大切にすることも大事です。

後期研修については、専門の先生方が各科にそろっているということもありますが、とりわけ消化管内視鏡のトレーニングが充実していて、宮崎県下でも一定の評価を受けています。また、当院は自前の細菌検査室を持っているので、グラム染色を軸とした正統派の感染症診療ができるのも強みです。

医学生研修医へのメッセージ

松浦氏4

これまで学んできた総合診療や医学教育を維持して発展させるため、また、当院でも有名研修病院並みの研修ができるようにするため、今年から飯塚病院とも連携していくこととなりました。

当院の研修は、自分がじっくり育っていくタイプだなと感じる人に合っていると思います。当院は有名な研修病院のように、大勢の研修医が居て、分刻みで動かなければいけないような環境ではなく、一人の患者さんをじっくりゆっくり、丁寧に診ていくことができます。今のところ、それほどたくさんの研修医が居るわけではないので、その分、研修医が患者さん一人一人に掛けられる時間は多くなりますし、指導医が研修医の到達度などに合わせた指導を行うこともできます。

誠実に患者さんと向き合う中で、病める人を癒すことができるよう、日々成長を実感できるような研修ができるよう、我々が全力でサポートします。将来、医師は自分の天職だと声を大にして言ってみたくありませんか?

宮崎県地域医療支援機構(事務局:宮崎県医療薬務課)
〒880-8501 宮崎県宮崎市橘通東二丁目10番1号 TEL 0985-26-7451
ishishohei@pref.miyazaki.lg.jp