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宮崎大学医学部外科学講座

宮崎大学医学部外科学講座は、2015年4月から第一外科(腫瘍機能制御外科学分野)と第二外科(循環呼吸・総合外科学分野)が統合し、一つの大講座として生まれ変わった。新専門医制度を見据え、臨床の最前線で心臓血管外科の手術一筋に打ち込んできた中村教授と、長崎大学医学部腫瘍外科で医療人教育と研修医のトレーニングに長年携わってきた七島教授が新たに就任してタッグを組み、充実した診療の提供とハイレベルな外科医の育成強化に取り組んでいる。そして、この二人が新たな宮崎大学医学部外科学講座の歴史を描き始める。
Profile

中村 都英 佐賀県出身
【経歴】
1981 年、宮崎医科大学卒業、宮崎医科大学第二外科入局
宮崎県立延岡病院心臓血管外科部長
宮崎大学循環呼吸・総合外科准教授
日本血管外科学会、日本外科学会、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会、日本循環器学会、日本脈管学会
指導医、専門医、評議員

七島 篤志 長崎県出身
【経歴】
1988 年、宮崎医科大学卒業、長崎大学第一外科学教室入局
長崎大学大学院腫瘍外科(旧第一外科)准教授
日本外科学会、日本消化器外科学会、日本消化器病学会、日本肝胆膵外科学会、日本胆道学会、日本内視鏡外科学会
指導医、専門医、高度技能指導医、評議員

大講座制に変革した目的は?

中村先生

中村:第一外科と第二外科でオーバーラップしている分野同士が協力して診療を始めたのがきっかけでした。第一外科と第二外科の消化器外科が別々のチームで同じような診療をしていたのが、一緒のチームとして力を合わせて診療に当たれるようにしました。

七島:重複をなくすということと、マンパワーの集約も目的の一つです。

外科医志望の傾向は?

中村:医局には約30人が在籍していて、5分野に分かれるとそれぞれ6〜7人になります。外科医志望で入局するのは、毎年2〜3人ですね。県内各地から派遣の依頼は多いのですが、応えきれていないというのが現状です。
外科医志望者は減少傾向にあったのですが、近年は少し増えてきています。

七島:どこの地方大学も地元に残る人数は少ないのですが、私がいた長崎大学は、他県の医学部に行っても、初期研修の段階で長崎に戻ってくる人が多かったように思います。毎年100人くらいは県内に初期研修医が居ましたから、それに比べると宮崎のマッチングの充足率は少ない方ですね。
母体となる初期研修医の数がそのまま、後期研修医の数に反映されるので、外科に進む人数もそれに比例しています。

大学病院としてできることは?

七島先生

七島:初期研修医の母数を増やすには、若い人を惹きつけるような特色や、研修医を引っ張るリーダーシップのある人材が必要ですね。大学としては、トップの先生方を中心に、明るい、魅力のあるテーマを掲げることも有効だと思います。
新しく『医療人育成支援センター』も発足したので、その方針にも期待しています。

中村:関西のある大学では、何%以上は若手に手術させるというような仕組みがあったり、先進医療や手術移植をメインにした研修をアピールしている病院もあります。何か特化した分野を持つと、憧れて入ってくる外科医も増えてくると思うのですが。

七島:外科医というのは、やはり実際に手技を経験することで、初めてモチベーションが芽生えてくるものだと思うんですね。長崎大学では医学部3年次から生体を使った手技を体験するセミナーを開催していました。
宮崎大学でもなるべく早い段階で、手技の面白さを感じられるようにと考案したのが『マンゴープロジェクト』です。

『マンゴープロジェクト』とは?

七島:解体されたブタの臓器を切ったり、縫ったり、実際に手技を体験する実践型のセミナーで、年2回のペースで開催予定です。2015年の6月に第1回を開催しました。マンパワーの問題もあって5、6年生を対象としましたが、学生から研修医までもっと幅広く参加を呼び掛けて、徐々に軌道に乗せようと計画しています。宮崎らしい明るいネーミングで内外にアピールしたいと思って名付けました。

中村:人工皮膚を縫って結ぶという縫合手技の試験はあるのですが、まだ専門の決まっていない医学生の段階で、外科手技そのものに接する機会はほとんどありませんでしたから大きな体験になるはずです。

七島:人工物だと学生はあまり興味を示さないですから、生体材料を使うことで、手技の面白みや外科への興味を喚起できればと思っています。

マンゴープロジェクト集合写真
マンゴープロジェクト

新しい専門医制度への対応は?

中村:外科専門医を取得するには、広範な領域が必要で、胸もお腹も心臓も全て経験しなければなりません。大講座制では主要な臓器別診療科の全てがそろって連携していますから、専門医資格も効率的に取りやすくなるというのが最大のメリットです。

七島:この大講座制を統括して運営するシステムは、全国にもまだない画期的な体制です。指導医も含めて人材が増えれば、大きな機能を発揮すると思いますので、大いに期待してください。

地域で働く外科医を増やすためには?

七島先生・中村先生1

七島:二つ方法があって、新たな初期研修医から増やすか、すでに外科の経験があって、宮崎で働いてもいいという先生をメディアを使って呼び込む広報戦略しかないと思います。公立病院よりは民間病院に流れる問題も指摘されます。

中村:大学と3県立病院がもっと有機的につながることが必要だと思います。大学と人的交流が盛んなのは県立日南だけですので、外科としては県立宮崎とも県立延岡とも積極的に交流を図っていきたいと思っています。

七島:それから、今働いている先生たちがモチベーションを維持して続けていただくことですね。それに尽きると思います。

中村:医局で働く人たちが楽しく、やりがいが生まれるように講座を運営して、対外的にアピールすることも大事です。

七島:情報発信も従来のやり方では駄目で、県民の力も、行政の力も借りながら、人の目につくところで、宮崎で医師として働くことのメリットを伝えていくのも一つの方法です。県の行政には、移住プロジェクトで医師の宮崎への移住も促進していただきたいですね!

どのような医師を育てていきたいですか?

中村:新しい外科学講座のプログラムでは、一般的な外科の領域を一定のレベルで網羅していて、サブスペシャリティも持つという、県民にとって頼りがいのある外科医を育てていける体制を作り上げます。

七島:何カ月も手術を待たなければいけないという状況の患者さんもいらっしゃいますから、少しでも早く解消したいと思っています。外科医が少なくなると、その影響を受けるのは県民ですから、地域医療を支える技術と気概を持った人を増やしたいです。

時代のニーズに応える人材とは?

七島先生・中村先生2

七島:あと10年ぐらいで団塊の世代が引退する時期になり、この年代の患者が増えることになります。さらに医療者の側も若手世代が減って人口の偏りが進むと、医師不足による患者の選別という事態も起き得るかもしれません。
全ての人に平等な医療が提供できなくなる可能性まで考えると、外科医の数を確保するために外科医を育てる仕組みづくりが必要です。

中村:循環器疾患の患者さんは高齢者が多いので、今後さらに増えていくと予想しています。そうなると外科医の需要はますます高くなりますし、内視鏡やカテーテルなど低侵襲の手術へと変化しつつありますので、その流れに応じた技術を修得させることも人材育成の課題です。

技術的にはどのような変化があります?

中村:心臓血管外科の分野ですと、欧米での冠動脈バイパス手術は、オフポンプよりも人工心肺を使った手術が主流に戻ってきています。心臓を止めないで手術するオフポンプは高度な技術が必要で、その技術の継承も簡単ではないという側面があります。
一方で患者さんの手術後の統計では、生存率に差がないというデータもありますので、どの技術を選ぶかの判断も医師の重要な仕事になっています。

七島:肝胆膵や消化管外科の分野では、鏡視下手術の普及が大きな進歩と言えるかもしれません。しかし、手技の未熟さや機器の故障、思いもよらない医療事故など、最先端のテクノロジーには影の部分もあります。
患者さんは疾患が治ることを一番に望んでいるので、従来の技術と未来の医療とのバランスを考えて、患者さんの望みが叶えられるように適正な手術法が選択されるべきと考えます。

医師を目指す人へのメッセージ
中村先生2

中村都英
今は、後輩の指導が仕事のやりがいになっています。ぜひ医学部に入って外科医を目指してほしい。
患者さんのために働くことの喜びを伝えたいと思っています。外科医の未来は明るく楽しい!

七島先生2

七島篤志
宮崎のために頑張りたい若者に集まってほしい。
大学病院は、やはり状態の厳しい患者さんが集まってくるので、きちんとした医療を受けられて満足して退院してもらえれば何よりですし、それが医師としての幸せです。

最後に先生にとっての医療とは?

安心、安全、明るい未来 宮崎大学医学部外科学講座 心臓血管外科学分野 教授 中村都英氏篤志のこころ 宮崎大学医学部外科学講座 肝胆膵外科学分野 教授 七島篤志氏

宮崎県地域医療支援機構(事務局:宮崎県医療薬務課)
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