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土居 浩一 氏

10年前に医師の大量退職で地域医療崩壊の危機に直面した県立延岡病院。
「宮崎県北の地域医療を守る会」の市民活動も浸透し、中高生への講演会や、九州保健福祉大学など医療人の育成にも力を注いでいる。
行政と医療機関と市民がタッグを組み、危機を乗り越えるだけでなく「医療者が働きたい街No.1」を目指している。県北唯一の臨床研修の拠点として、今、県立延岡病院が熱い。

プロフィール

どい こういち

熊本大学医学部卒業。附属病院第2外科に入局し、熊本と宮崎をローテーションしながら外科医として勤務。2016年に5年ぶりに延岡に外科医長として帰還。2019年度から臨床研修管理委員長として、また副院長として辣腕を振るっている。

■県立延岡病院 副院長(業務)
■医療安全管理科 主任部長
■臨床研修管理委員長
■専門:肝胆膵外科、内視鏡外科

県北医療の課題とは

土居 浩一 氏01

県北エリアの医療人口は約25万人で、高次機能医療施設は当院だけですので、あらゆる疾患が集まってきます。ここで患者さんに対応できないとなると、大学病院まで遠い移動を強いることになりますし、もし間に合わなければお亡くなりになることもありますので、県北医療の最後の砦という自負でやっています。マンパワーが足りないのは事実ですが、少ない人数ながらも、地域で完結できるような医療施設でありたいと思っています。

また、延岡は日向灘に面しており、地震や津波災害に対しての備えも必要です。ヘリポート下の2階には臨時で救急搬送を受け入れられるフロアがあり、定期的に災害医療訓練を実施しています。

11月には日向灘地震が発生したという想定で、災害時救急医療訓練を行いました。多数の病院職員に加えDMAT(災害派遣医療チーム)も派遣してもらい、さらに模擬患者を投入した上で現実の被害に近いシミュレーションをしたところ、次につながる対策も具体的に見えてきました。一度、訓練を経験するだけでも、かなり意識が変わると思います。

伝統の縦連携・横連携

配属された診療科で指導医からマンツーマンの教えを受ける通常のローテート研修に加えて、夜間当直体制の中で、研修医には初診を担当してもらいます。当直医と一緒に、ファーストタッチの診断の正しさや、次の治療に結び付く検査の組み立てなど、総合的に鑑別する能力を身に付けられるような研修が特徴です。当直医として、内科系と外科系の上級医が一人ずついますので、タッグを組んで、ローテーションしている診療科以外の知識や技術の幅を広げていけるのが最大のメリットです。これを上下の縦連携としています。

土居 浩一 氏02

横連携については、同世代間の切磋琢磨を促すために、常時10名以上の研修医を受け入れています。基幹型以外にも、協力型として宮崎大学と熊本大学のたすき掛け、県立3病院のフェニックスプログラム、済生会熊本病院の5つのプログラムを並行して受け入れています。それぞれ習慣や考え方が違うので多様性が生まれ、良いものはどんどん取り入れています。研修医同士で仲良くなって旅行に行ったり、それぞれの病院に戻っても連絡を取り合ったりと、所属の違う仲間ができるのも、これからの医師人生において大きな糧になるのではないかと思います。

研修プログラムの方針としては、研修医の先生方それぞれの「自分は何をしたいのか?」という希望にできるだけ対応するようにしています。初期研修の2年間は、次にどの科に進むかの大事なステップですので、柔軟なプログラムを組むことを心掛けています。最近は、救急医療を勉強したいという研修医は多いですね。指導医も宮崎大学医学部附属病院の救命救急センターから配属された熱い先生方が活躍しています。

研修医として標準的な知見を身に付けていただくために、月に2回、各科持ち回りで院内セミナーを行っています。研修医の先生方に身に付けておいてほしい最低限の知識や先端医療の情報も共有しています。手技の面では、特に内科だと手術の機会が少ないため、当直時の不安を解消する目的でもあるのですが、人工の皮膚モデルを使った縫合の特訓を10月から2月にかけて月に2回程度実施し、2月には縫合コンテストを開催して手技のレベルアップに努めています。

独自の取り組みとしては、病院内で学会を開催しています。病院の中で日々の疑問や、自分の興味のあることを演題にして、プレゼンテーションしてもらう機会を設けています。開催回数は年に2回ですが、研修終了後の学会にデビューしてもらうための練習にもなっています。日々の診療や手技以外に学術活動の大切さも学んでもらっています。

研修医インタビュー

永友 克己 氏

高校生の頃に宮崎の医師不足をニュースで知り、少しでも貢献出来たらと思い医学部進学を希望しました。まさにドラマのドクターコトーのイメージでした。

大学の臨床実習では専門的な疾患を学んでいたのですが、コモンディジーズも診たいと思ったのと、中でも県北地域の限られた医療資源の中でどんな医療をしているのか体験したいという興味もあって、延岡を研修の場に選びました。救命救急センターが新しくできたばかりで、救急医療の豊富な症例があるというのも魅力的でした。

実際に来てみて感じたのは、ドクターだけでなく、看護師さんや技師さんもいろんなことを教えてくれて、壁がない感じで、院内の雰囲気が良いですね。患者さんは肺炎から悪性腫瘍まで様々な疾患の方がいらっしゃいます。まだ新人の僕を「先生」と呼んでくれて、時には採血を失敗したりもするのですが、「もっと縛らんからよ」と笑ってくれたり、温かい人ばかりです。

今、興味があるのは循環器内科です。危険な状態で運ばれてきた患者さんが歩いて帰れるようになるという、緊迫感と安堵感に医療の醍醐味を感じましたし、救急外来に循環器内科の先生が来た時の頼もしさったらないです。

当院の先生方を見ていると、臨床で忙しい中でも、研修医にはしっかり指導してくださいますし、患者さんにはいつも丁寧に接していて、当直もこなしてと、とにかくタフです。研修医も戦力として一人前とまでは行きませんが、人が少ない分、多くの経験を積むことができます。自分もタフな医師になりたいですね!

研修先を選ぶのに一番良い方法は、まずは見学に行くことです。資料でプログラムを見ても、学生のうちはイメージが湧かないと思いますし、行ってみてフィーリングが合うところに決めるのがいいと思います。県立延岡病院は、とてもアットホームな研修環境です。いつでもお待ちしています。

Off the Job Training

各種学会・講演会への参加やBLS・ACLSの資格取得に係る支援制度をはじめ、毎月第2・第4木曜日に、各診療科の専門医が「救急」をテーマに講義を行う「研修医セミナー」や、年1回(2月)開催される「縫合コンテスト」、年2回(3月・9月)開催される「県立延岡病院学会」での発表など、Off-JTも充実しています。

「結紮王」と「真皮埋没縫合」
「結紮王」と「真皮埋没縫合」

「研修医セミナー」を月2回開催
「研修医セミナー」を月2回開催

技術向上を目的とした「縫合コンテスト」
技術向上を目的とした「縫合コンテスト」

「救急」をテーマに各診療科の専門医が講義
「救急」をテーマに各診療科の専門医が
講義

興味のある演題で発表する「病院学会」
興味のある演題で発表する「病院学会」

上級医と研修医

縦連携

救命救急センターにおいて、休日・夜間に常勤医(内科系・外科系の医師各1名)と合同で当直をし、ファーストタッチを研修医が行う「研修医当直制度」により、診療科の垣根を越えた上級医との縦連携を構築することが可能となっています。

臨床研修プログラムの協力型研修医、研修歯科医達

横連携

県立延岡病院の初期臨床研修は、当院基幹型のほか、宮崎県立病院群(フェニックスプログラム)、熊本大学医学部附属病院、宮崎大学医学部附属病院等の臨床研修プログラムの協力型研修医に加え、研修歯科医も受け入れており、毎月10~15名程度の研修医がひとつの研修医室で互いに情報共有をし、切磋琢磨しながら研修を行っています。

Off the Job Training

各種学会・講演会への参加やBLS・ACLSの資格取得に係る支援制度をはじめ、毎月第2・第4木曜日に、各診療科の専門医が「救急」をテーマに講義を行う「研修医セミナー」や、年1回(2月)開催される「縫合コンテスト」、年2回(3月・9月)開催される「県立延岡病院学会」での発表など、Off-JTも充実しています。

「結紮王」と「真皮埋没縫合」
「結紮王」と「真皮埋没縫合」

「研修医セミナー」を月2回開催
「研修医セミナー」を月2回開催

技術向上を目的とした「縫合コンテスト」
技術向上を目的とした「縫合コンテスト」

「救急」をテーマに各診療科の専門医が講義
「救急」をテーマに各診療科の専門医が講義

興味のある演題で発表する「病院学会」
興味のある演題で発表する「病院学会」

縦連携

上級医と研修医

救命救急センターにおいて、休日・夜間に常勤医(内科系・外科系の医師各1名)と合同で当直をし、ファーストタッチを研修医が行う「研修医当直制度」により、診療科の垣根を越えた上級医との縦連携を構築することが可能となっています。

横連携

臨床研修プログラムの協力型研修医、研修歯科医達

県立延岡病院の初期臨床研修は、当院基幹型のほか、宮崎県立病院群(フェニックスプログラム)、熊本大学医学部附属病院、宮崎大学医学部附属病院等の臨床研修プログラムの協力型研修医に加え、研修歯科医も受け入れており、毎月10~15名程度の研修医がひとつの研修医室で互いに情報共有をし、切磋琢磨しながら研修を行っています。

研修医へのメッセージ

土居 浩一 氏と永友 克己 氏「熱き医療人になっていただきたい」

私の専門である外科の話にはなりますが、県立延岡病院では年間で500件ぐらい手術を行っており、私も300件ぐらいに入っています。最近は若手の先生に経験を積ませるために助手につくことが多いです。外科分野での大きな変化としては、腹腔鏡などの鏡視下手術ですね。患者さんにとっては、開腹手術に比べると傷が小さく、術後の痛みも軽減され、見た目もきれい、退院までの期間も短くなりました。もちろん開腹でないとできない手術もありますので、すべてを鏡視下でというわけではありませんが、医師にとってのメリットもあります。今まで肉眼だけで見えていたものが、拡大視効果によって、気が付かなかった部分が見えるようになってきたことと、医師の加齢による視力の低下をモニターでカバーできて、長く活躍できるようになったことも利点です。

今後は、腹腔鏡で膵頭十二指腸切除など難易度の高い術式も可能になるでしょうし、化学療法の発展も目覚ましいものがあります。まだまだ進化の余地のある分野ですね。

もちろん外科以外にも、あらゆる疾患が経験できます。学会での発表支援制度等も活用できますし、なにより熱意ある指導医が多数いますので、ぜひ県立延岡病院で研修をしていただいて、熱き医療人になっていただきたいと思っています。

宮崎県立延岡病院

宮崎県立延岡病院
Miyazaki Prefectural Nobeoka Hospital

所在地:〒882-0835 延岡市新小路2-1-10
電話:0982-32-6181
URLhttps://nobeoka-kenbyo.jp/
病床数:410床(一般406床・感染症4床)
診療科目:内科、循環器内科、小児科、外科、整形外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科・周産期科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、救命救急科、臨床検査科、病理診断科

宮崎県立延岡病院

宮崎県立延岡病院
Miyazaki Prefectural Nobeoka Hospital

所在地:〒882-0835 延岡市新小路2-1-10
電話:0982-32-6181
URLhttps://nobeoka-kenbyo.jp/
病床数:410床(一般406床・感染症4床)
診療科目:内科、循環器内科、小児科、外科、整形外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科・周産期科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、救命救急科、臨床検査科、病理診断科

宮崎県地域医療支援機構(事務局:宮崎県医療薬務課)
〒880-8501 宮崎県宮崎市橘通東二丁目10番1号 TEL 0985-26-7451
ishishohei@pref.miyazaki.lg.jp