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児玉 隆志氏

PROFILE

医療法人社団 児玉小児科 院長

児玉 隆志氏(こだま たかし)

都城市出身。2002年、福岡大学医学部卒業。福岡大学病院の小児科に入局し、中津市立中津市民病院、田川市立病院、福大筑紫病院、都城市郡医師会病院などを経て、アレルギー学を学ぶため、独立行政法人国立病院機構福岡病院で研修。2017年に都城にUターン。開業医の先代院長の後を引き継ぎ、地域密着型の小児医療を提供しつつ、アレルギー疾患の経口負荷試験や投薬・免疫療法など専門性の高い治療を推進し、本県の地域医療を支えている。

【認定】日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医(小児科)

医師を目指したきっかけは?
思い出話をする児玉院長の写真

小児科医になったのは、同じ小児科医の父の影響です。診療所の2階が自宅で、家族と一緒に住んでいたので、子どもの頃から階下で診療をしている父の姿を見ていました。父は喘息持ちで、診療が終わって夜になると、ゼーゼーとしゃべれない日もありました。それでも、急患が来ると階段を下りて診療に向かう父を見ていて、仕事の面でも支えられたらと思い、医学部に入った時点で、後を継ぐことを意識していました。

医学部卒業後は、そのまま大学病院の医局に入り、まっすぐ小児科医への道を進んでいましたが、何か専門をと考えた時に、父の姿を思い出し、喘息の治療に興味を持つようになりました。そして、アレルギーについて深く学ぶために、西日本で最先端のアレルギー治療を展開している国立病院機構福岡病院を選びました。福岡病院は、症例や研究の数も全国トップクラスで、全国からアレルギー科、小児科、呼吸器内科、心療内科、皮膚科、耳鼻科、リウマチ・膠原病内科などの医師が集まっていました。

そこで、喘息治療だけでなく、気管支鏡の手技や食物アレルギーも学びました。特に食物アレルギーについては、まだメカニズムが分かっておらず、治療方針すら定まっていない時代でしたので、研究対象として興味が沸きました。当初は、食物アレルギーを引き起こす食べ物は避けるべきだと考えられていましたが、避け続けていると症状が重くなってしまうことや、逆に閾値を超えない程度に食べると、耐性を獲得できることが分かってきたり、医学常識にも変化の起きている時代でした。

アレルギー専門医としての課題とは?

今の一番の課題は、食物アレルギーを持つ患者さんへの対応ですね。患者数が多いものの治療法が確立している喘息に比べて、食物アレルギーは最新の診断方法や治療方針が浸透していません。そのため、アレルギーが専門ではない先生によって、血液検査でアレルギー反応が出たらとにかく摂取を避けるというような、当初の間違った治療が行われているケースがあります。

少しは食べられる、全く食べられないという違いでも、治療方針が変わってきます。食物経口負荷試験で患者さんの食べられる量を調べたうえで、食べながら少しずつ耐性を獲得していくのか、あるいは摂取を制限する場合には、足りない栄養素をどのようにして補うか指導をするというところまでが、アレルギー専門医の仕事です。

患者さんやアレルギー専門でない医師の皆さんに食物アレルギーの正しい治療法を知ってもらうことが、これからの課題だと感じています。

また、アレルギー疾患の中でも特に、子どもで重要なのが、アトピー性皮膚炎です。コントロールが悪いと、大人になってからアレルギーや様々な疾患を引き起こすことが分かってきています。

保護者の方が、ガイドラインに沿って子どもの皮膚のケアを続ければ、将来的な発症を防げますし、アトピーが治らない病気であるという誤解も解きたいので、これも広く知ってほしいですね。

宮崎にアレルギー専門医を増やしたい

アレルギー疾患には、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、食物アレルギーなど多くの疾患があります。宮崎にも患者さんがたくさんいるのですが、アレルギー専門医はとても少ないです。

2014年にアレルギー疾患対策基本法が制定され、都道府県単位でアレルギー対策のできる拠点病院を指定し、アレルギー科、呼吸器内科、リウマチ科、内科、小児科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科などに、アレルギーの専門医を一人ずつ配置することが決まりました。

診察室での児玉院長の写真

当時はまだ、宮崎大学にもアレルギー専門医がいない状況でしたので、個人活動として、アレルギーが専門ではない先生方のサポートをしたり、国の中心拠点病院となっている国立病院機構相模原病院からアレルギー指導医の先生に協力してもらい、アレルギー診療に関するセミナー開催等に取り組んでいました。

年に数回、鹿児島県や熊本県のアレルギー専門の先生たちと共同で勉強会を開催しながら、地道な活動を続けてきました。そしてようやく、2021年に宮崎大学医学部附属病院を拠点病院として、難病・アレルギーセンターが設立されました。鹿児島県では、ここ数年でアレルギー専門医が増えているようですので、宮崎県も追いつけるように頑張りたいですね。

小児科の仕事とは?

開業医としては、感染症の対応が多いです。インフルエンザウイルスやアデノウイルス、溶連菌といった季節ごとに流行する感染症は対症療法になるのですが、例えば小児喘息や花粉症などの患者には、免疫療法で長期的に対応することもあります。

地域医療としては、子どもの予防接種や乳児検診なども重要な仕事です。学校医として小学校や地域の施設で内科検診を行ったり、まれですが、虐待事案などで児童相談所と連携を取ることもあります。本当にいろいろな仕事がありますね。

もちろん難しい症例になれば、二次病院がないと成り立たないので、都城市郡医師会病院や都城医療センターなどの中核病院との連携も大切です。

日本では、子どもの数が減少しているので、小児患者は少なくなる、小児科は廃れていくなどと言われていますが、需要が減っているという感触はそんなにありません。患者の数が減ったとしても、その分一人一人の患者に関わる時間が増えますし、社会はどんどん変わるので、昔は見過ごされていたようなことにも注目しなければいけないと感じています。SNSの流行による睡眠の質の低下といった社会的な問題にも、小児科医が介入する必要があるかもしれないですね。

家庭を孤立させないためにも、医療機関と学校が協力し、地域社会全体で子育てをしていくのが理想だと思っています。

小児科の仕事の魅力とは?
ロビー受付前に立つ笑顔の児玉院長の写真

子どもたちは、基本的に治りが良いです。悪くなるのも早いですが、快復が劇的なので、治療のしがいがあります。

小児科医は、子どもの総合医として疾患全般を診ることになるので、飽きることがないです。常に新しいことに出会いますし、その上で自分の専門性や社会的なつながりを深めていけば、仕事としても長く楽しめると思います。

勤務医の時期には産科と一緒に新生児医療に携わることも多いので、出産に立ち会った子や新生児治療をした子が、歩き出したり少し大きくなって別の病気でも関わったり、子どもたちの成長を見ていられるのも、小児科医ならではですね。

子どもがいないと社会は衰退してしまいますし、なにより子どもたちにエネルギーをもらって、常にモチベーションを上げながら仕事ができるので、あらためて小児科医は魅力にあふれているなと思っています。

病院外観写真

医療法人社団 児玉小児科

所在地:〒885-0037 宮崎県都城市花繰町14-3-1
電話:0986-25-5570
URL:https://kodama-shounika.com/

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