医師になろうと思ったきっかけを教えてください。
幼い頃から身近に医療の現場を感じる機会が多く、自然と人の命や健康を支える仕事に惹かれるようになりました。患者さんやそのご家族に寄り添う医師の姿を見て、「自分も将来こうありたい」と思ったのがきっかけです。
特に、どんな状況でも冷静に判断し、人の命を守る姿勢は、強い憧れを抱かせてくれました。医療は単に病を治すだけでなく、地域の暮らしを支えるものであることを実感し、医師という道を志す決心に至りました。
自治医科大学を卒業して感じる、自治医科大学の魅力は何だと思いますか?
自治医科大学の魅力は、地域医療に真正面から取り組める環境と、同じ志を持つ仲間との強い絆だと感じています。全国から集まった学生たちと共に学び合い、互いに励まし合いながら「地域医療を担う」という共通の使命感を育むことができました。
さらに、卒業後も先輩や後輩との縦のつながり、県内で働く仲間との横のつながりが強く、地域に根差した医療を続けていく上で大きな支えとなっています。こうした環境の中で学んだ経験は、救急医として地域に貢献する今の自分の姿勢にも直結しています。
現在の診療科を選択されたのはなぜですか?
救命救急科を志したきっかけは、研修医の時に出会った長嶺先生(現・宮崎市郡医師会病院 救命救急科)の姿に憧れたことです。重症患者さんに真摯に向き合い、冷静かつ的確に判断していく姿を間近で見て、「自分もこの道を進みたい」と強く思いました。
また、救急医療はチームで迅速に対応することが求められる分野であり、スピード感やコミュニケーションを大切にする自分の特性とも合っていると感じています。常に緊張感のある現場ですが、その中で命を救うことに挑戦し続けられることに、大きなやりがいを感じています。
これまでのへき地での勤務を通じて、地域医療のやりがいや魅力は何だと感じますか?
串間市民病院での1年間、美郷町西郷病院での3年間を通じて、地域に救急医が加わることの大きな意義を実感しました。
西郷病院では院長職も務め、診療にとどまらず行政・消防・福祉と連携し、新しい救急システムの構築にも取り組みました。その結果、救急搬送の流れや初期対応が改善され、地域全体の救急医療の質が向上していくのを肌で感じました。さらに、山岳事案や交通事故など、地域ならではの特殊な救急事案にも数多く対応し、限られた医療資源の中で最善を尽くす経験は大きな糧となりました。
へき地医療は大変な面もありますが、その分、自分たち救急医が関わることで地域に変化を生み出せるダイナミズムがあります。目の前の命を救うだけでなく、地域の仕組みそのものを強くしていけることこそが、地域医療と救急医療を重ね合わせる最大のやりがいだと思います。
休日はどのように過ごされていますか?
救急の現場は常に緊張感がありますので、休日はしっかりとリフレッシュするようにしています。
特にサッカーが好きで、プレーするのも観戦するのも良い気分転換になります。また、友人や職場のスタッフと飲みに行き、仕事とは違う雰囲気で語り合う時間も大切にしています。
体を動かしたり、人と交流したりすることで気持ちをリセットし、次の勤務にも全力で臨むことができています。
医師を目指して頑張っている方へ、メッセージをお願いします。
医師という仕事は決して楽な道ではありませんが、その分、かけがえのないやりがいがあります。
特に地域医療や救急医療の現場では、患者さんやそのご家族から直接「ありがとう」と言っていただける瞬間が多くあり、それが何よりの励みになります。私自身、へき地での勤務や救急の現場を通じて、「自分がいることで地域が少し良くなる」と実感できることが大きな原動力になっています。
勉強や研修は大変なこともありますが、その先には必ず人の命や暮らしを支える喜びがあります。ぜひ皆さんも、自分なりの思いや強みを生かしながら、一緒に地域医療を盛り上げていきましょう。