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黒木 和男 氏

プロフィール

宮崎大宮高等学校、広島大学医学部卒業後、当時開学したばかりの宮崎医科大学(現・宮崎大学医学部)の第2内科に所属、消化器内科(肝臓)を専門とする。いくつかの総合病院を経て、2000年より日南市立中部病院に勤務。その後、現在まで20年以上日南串間の地域医療に従事し続ける。2002年4月より串間市民病院長に就任。2005年に新病院竣工。
病院のリニューアルにも設計段階から携わり、宮崎県の地域医療を支える県南の雄。

日本内科学会認定医 / 日本肝臓学会専門医 / 日本消化器病学会専門医 / 日本消化器病学会認定施設指導医
宮崎大学医学部医学臨床教授 / 産業医

杉の木目が美しいエントランスロビーに、静かに流れるクラシック。患者とスタッフが一体となった医療の提供を実現している地域医療の現場から病院設計と広域医療連携のグランドデザインを語っていただきました。

地域医療の魅力とは?

黒木先生近影

ここ串間に来て、10年経ちました。その前にも日南の中部病院に12年勤務していましたので、もう20年以上ずっと南那珂地区で働いています。医師としてのキャリアは30数年ですが、その半分以上を地域医療に携わっていることになりますね。

地域医療の魅力は、何よりも患者さんと直接触れ合えるということです。大学病院や都市部の大病院であれば、専門になればなるほど、診断のついた患者さんの限られた分野の疾病しか診ることはありませんでした。その中で時には、私が居なくてもいいのではないか、と思い悩むこともありました。

しかし、地域医療では、患者さん一人ひとりに全責任を持って治療に当たる、直接向き合ってそこで完結させなければならない。患者さんに対してトータルで医療を考えるという難しさと面白さがあります。もちろん、患者さんからの期待も高いので、完治したときはとても感謝され、それが医師としての大きなモチベーションになっています。

串間病院の医療の特長は?

院内の様子

私自身が肝臓を中心とした消化器の専門家ですので、将来は、消化器専門として地域一帯をカバーできる医療センター化したいという構想があります。現在でも、県立日南病院を含め、南那珂全域の肝臓疾患の患者さんを受け入れていますし、日本消化器病学会・日本消化器内視鏡学会・日本肝臓学会の認定施設にもなっていますので、研修環境も整っています。いま、若い先生たちも興味を持って来てくれていますので、その受け皿の一つとして、この病院で専門の医師を養成していくことができれば、と考えています。

そしてもう一つは地域医療の病院の総合医として、全ての患者さんを診るということを旨としています。人口約2万人の串間市内で一次救急を受け入れている病院は当院しかなく、救急車搬送が年間500件近くあり、地域の8割から9割を受け入れています。当直医も常勤医12人のうち10人で輪番制で担当しています。もちろん診療科の違う疾患のときはお互いにフォローするという協力体制も出来ています。

病院外観と黒木先生

消化器に限っていえば二次救急までの機能がありますが、脳卒中や心筋梗塞や火傷となると、他の病院へ運ぶことになります。これまでに内臓破裂や大火傷の患者さんの搬送で防災ヘリの出動をお願いした事例はありましたが、この4月からドクターヘリが飛び始め、今後、機動力がより高くなり、要請もしやすくなるのではと期待しているところです。すぐ目の前の運動公園がランデブーポイントになっていますので、こちらである程度の応急処置をして、ほとんどタッチアンドゴーで高度医療機関まで短時間で運べるようになったというのは、とても大きいことです。

実際、串間から宮崎市内まであるいは大学病院の救命救急センターまで、救急車で、日中ですと2時間かかってしまうところが15分で運べる。センターからもどんどんヘリの出動を要請してほしいとのことですので、うまく運用できれば大変助かります。

地域医療の未来と可能性

黒木先生近影2

串間市は65歳以上の割合が36%を超え、いわゆる超高齢化が進んでいます。病院の患者さんも80歳90歳の方が多くいらっしゃいます。ところが、実際は100歳前後でもお元気で自立した生活を送っている方もいらっしゃるので認識が変わりますよ。

5年前に福祉センターが併設されました。高齢化社会とも相まって医療・保健・福祉の一体化で、地域で完結させるという傾向はより強くなっていくでしょう。医師にも専門分野の知識だけでなく、地域包括医療についての意識が求められています。ここでの医師は、幅広い疾患を診るだけではありません。その患者さんの背景にある生活習慣や既往症などさまざまな事情を考慮し、家族やご近所さんの協力を仰ぎながら複雑な問題に対応する必要があります。

地域一体化への取り組みとして市民公開講座や出前講座、市広報への医師の寄稿など、病気の治療や予防に興味を持って役立ててもらえるような情報提供も行政と一緒になって取り組んでいるところです。

今こそ地域医療を支える医師を育てなければ

黒木先生近影3

へき地病院では、勤務医の数を確保をするというのが大変なんです。私が就任した当時も、大学からの引き揚げ、勤務医のいろいろな事情やタイミングも重なり、医師数が16人から11人と、ぐんと減った時期で、いきなり頭を抱えることになりました。

眼科や小児科など休診したまま、いまだ復活していない診療科もあるのですが、皮膚科や耳鼻いんこう科などは宮崎大学にお願いして派遣してもらっています。平成20年からは宮崎大学医学部附属病院の協力型臨床研修病院になり、研修医の受け入れも積極的に行っています。

実際に宮崎大学の地域医療学講座から、臨床研修に来ていた先生が、昨年4月から内科医として勤務してくれるようになりました。千葉県出身なのですが、もともと「地域医療に従事したい」という熱い志を持っている先生で、これで内科医も6人体制となり、今は、外来や検査、入院患者さんの担当や当直もこなして、生き生きと働いています。

ワークライフバランスの実践

医師の招へいに当たり、私が一番に考えたのが、医師の疲弊を防ぎストレスを軽減することでした。内科では、担当医交代制を導入しました。主治医になれば、やはりいつ呼び出されるかわからないという緊張感や、重症の患者さんからいっときでも離れることの不安など、気を抜く間がないのが医師の宿命ではあるのですが、信頼できる仲間の医師に担当を代わることで、原則として当直や待機以外のときは全く拘束されないように制度を整えています。オフタイムはリラックスして人間らしい生活を送ってもらうという理念のもと、長く働き続けられるようにするための一つの工夫だと考えています。

新しく来た研修医の先生には必ず、「寿司虎、まだ行ってないの?じゃ行こうか!」と、スタッフ同士の仲も良く、コミュニケーションがとりやすい環境で、研修先としても最適ではないかなと自負しています。希望してきてくれる研修医の数も徐々に増えてきていて、私自身もよく誘ってご飯を食べに行ったりもするんですよ。

串間病院スタッフ

黒木病院長のモットー
黒木先生近影4

仕事というのは辛いだけでは続きません。その中に楽しいことを見いだしていく。そのためにもストレスなく、何でも言い合える風通しの良い職場環境をつくる、それが院長としての役目だと思っています。

また、後進を育てていくということも常に意識しています。医療の技術だけではなくて、患者さんへ誠意を持って対応する医師になってほしい。人間ですから、ときにはミスをするかもしれない、大事なのは、それに対する誠意を持った対応ができるような医師になることです。

最後に先生にとっての医療とは?

患者さんに誠意を持って接することが大事です 串間市民病院 病院長 黒木 和男

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宮崎県地域医療支援機構(事務局:宮崎県医療政策課)
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