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押方 慎弥 氏

プロフィール

宮崎西高校卒業後、自治医科大学で学び、地域医療の道へ。
外科と内科を中心に宮崎県内のへき地の病院や診療所に勤務し、出身地である高千穂に戻って内科医として勤務し3年目。
日々、明るいスタッフに囲まれながら地域医療に邁進する青年医師。

神々の郷「高千穂」にて、日々明るいスタッフに囲まれながら地域医療に邁進する押方医師。地域医療の魅力を語って頂くとともに、へき地が抱えている問題に対して描いてる将来像についてお話を伺いました。

地域医療へのいざない自治医科大学の挺身スピリッツ
押方 慎弥 氏

大学卒業後の最初の2年間は、県立宮崎病院で研修医生活を送る。国民健康保険西米良診療所で外科医として勤務し、その後は熊本大学で内科を学ぶ。北浦診療所、東郷町国民健康保険病院を経て県立宮崎病院に戻るというローテーションの中で、地域医療に携わる医師の人数の少なさ、レベルや質の問題を実感する。

「へき地を回っているうちに、徐々にモチベーションが強くなっていったという感じですね。」

地元の高千穂に帰って医師として働くと決心したのは、自治医科大学に学んだという環境も大きい。

自治医科大学はもともと離島やへき地など住民の健康確保を目的とし、地域に根差す医師を輩出するために全国の都道府県が共同して設立した医科大学であり、宮崎県でもこれまでに75人(平成24年7月現在)の卒業医師がいる。卒業後9年間は市町村の要請に応じて宮崎県から派遣される義務があるが、先進医療の高次病院とへき地の病院の両方へ勤務する。義務年限が終わった後は地元に帰って開業したり、地域医療や救命救急の現場で活躍している医師が多いのが特徴。

国民健康保険西米良診療所では医師が2人で、5つ年上の先輩が院長、まだ研修を終えたばかりの押方医師が副院長という体制。その頃は外科系の診療に従事していたものの、地域医療を続けるには日常の疾患である内科系の知識や経験も必要になるはずと考え、熊本大学医学部第2内科に入局、その後の北浦町、東郷町の各病院では内科医として勤務することになる。

高千穂で町のかかりつけ医として働く。そんな思いを抱きながらも、まだ自分自身の力不足を感じ、自治医大の義務明け後に熊本医療センターで3年ほど消化器内科医として勤務する。当時でも、年間で6000台の救急車が入ってくる日本有数の救急病院で、内科救急も多かったという。

生活に根差した医療からつなぐ命の可能性
押方 慎弥 氏

39歳にして高千穂町国民健康保険病院に勤務。高校からは地元を離れていたので、むしろ幼少期を覚えている町の人からしばしば声をかけられるという。

「小さい頃のことなので、どなただったか覚えてなかったりするんですよ。」

と照れ笑い。趣味はゴルフやバドミントン、別の町に勤務していたときにも青年団のバレーなどにも積極的に参加して住民と交流を深めていた。学生時代はハンドボールに熱中していて、朝から晩まで練習に明け暮れていた(自治医大は全寮制)というから、スポーツ好きも筋金入り。同級生とも変わらないつきあいを続けていて、もう少し年齢が上がると患者として診ることになるのかもしれない、と不思議な感覚らしい。

高千穂町でも住民の高齢化、生活習慣病の増加が顕著になっている。糖尿病患者の来院も多く、内科や外科、整形外科に関しては町内唯一の入院施設のある病院として、近隣の日之影町、五ヶ瀬町からの紹介もある。内科医も4人いたのが2人に減り、予防医療としての健康教室などの取り組みや、隣接した高千穂町保健福祉総合センターとの綿密な連携など、実施すべき課題もまだまだあるが、なかなか日々の診療に追われて手が回っていないのが現状。

高千穂町立病院

高千穂町は人口1万3千人余、この規模の病院として、医療機器は整っている。唯一不足しているのが、マンパワーの問題。

「少なくとも内科医を4人体制に戻したいと思っています。病院全体の外来が1日400人、内科が100人ぐらいで、内科医が2人になってからは他科の先生や非常勤の先生に外来を手伝ってもらうこともあります。内科病棟も60床ありますので、手が回らないときは延岡や熊本の高次病院に受け入れをお願いしている状況です。」

内科・外科・整形外科・泌尿器科・眼科・小児科・循環器科・耳鼻いんこう科・皮膚科と9つの診療科を持つ高千穂町国民健康保険病院。非常勤の科も4つある。

一方、県北中山間地域から2次3次医療へつなぐ医療連携は、徐々に環境が整ってきた。

「これまでは防災ヘリを頼んでいたのですが、宮崎大学救命救急センターの金丸先生、白尾先生、ともに自治医大の出身で学生時代も一緒に過ごした仲ですから、頼みやすくはなりました。搬送においてはまずドクターヘリを考える、宮崎大学もしくは済生会熊本病院へ。疾患によって搬送先を検討しますが、心疾患はまず済生会熊本病院への搬送を考えます。循環器科は週2回、済生会熊本病院から非常勤医が来ており、後のフォローを考えるとそちらに搬送するケースが多くなります。」

もちろん、夜間や天候などによってヘリコプターが飛ばない状況はあり得るが、それでも脳や心臓など一刻を争う事態に対しての意識は変わったという。

高齢化時代の医療の取り組み
押方医師近影

高千穂町の高齢化率は30%台後半と高く、出生率が低いため、さらに高齢化が進んでいく可能性が高い。

「町内に産科のお医者さんがいないので、延岡や熊本でお産して帰ってくるという状況です。高齢化の問題は最も深刻で、心臓や肺に疾患がある、筋力が弱って起き上がれない、などの介護の必要な一人暮らしのお年寄りを受け入れる施設ももはや満床で、かといって家に帰すわけにも行かず、そのまま退院できずにいる方もいらっしゃいます。」

高千穂町国民健康保険病院も急性期病床しかなく、今後は介護療養型のスタイルも取り入れていかなければ住民のニーズに対応できない、と語る押方医師。また、すべての診療科目に常勤医師を複数確保できれば、近隣の地域からも患者を受け入れ、県立延岡病院に次ぐ県北のもう一つの広域中核病院として機能するようになれる、という将来像を描いている。

地域医療の魅力とは

高千穂は自分の出身地でもありますし、友達も多いですから病院外での生活も満喫しています。高千穂は神話の里、観光地ではあるのですが、特に人が温かく、患者さんたちも人が良くて診療もしやすいです。

地域医療には、総合医としての力をのばす環境が大いにあると思います。大きな病院にいれば、自分の専門以外の患者さんを診察する機会は少なくなりますし、自分が診療する以前にある程度診断がついているケースも多くあります。地域医療は何も情報のない状態で患者さんを診察し、訴え・身体所見・検査等から診断にたどり着くという醍醐味があります。その上で自分でできる治療であれば対処し、もしさらに専門的な医療が必要と判断すれば、高次病院へ紹介し、情報をフィードバックしてもらうのです。

地域医療は「全身を診る」という本来のドクターとしての力がつきやすい環境であると思います。まずは診断にたどり着くこと。そこに地域医療の魅力があるのではないでしょうか。

高千穂町立病院のスタッフの方々と押方医師

最後に先生にとっての医療とは?

地域医療におけるprimarycareの追究 高千穂町国民健康保険病院 内科主任医長 押方慎弥

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